「太ってきたから甘いもの控えたいけど、ついつい食べてしまう」
「読書をしたいのに、見たいテレビを優先してしまう」
「ゆっくり話を聞いてあげようと思っていても、つい話を折ってしまう」
このように、「やりたくないのにやってしまう」といったような経験ありませんか?
やめたくても、やめられない。
これは『肯定的意図』が働いていると言われています。
『肯定的意図』とは
人は自分がダメージを受けないよう、状況に応じて適応する能力を持っています。
一見マイナスに思えるような感情・行動であったとしても、無意識の中で最善の方法をとろうとするのです。
そんなマイナスな部分でも自分の「安全」「安心」を得るために「道具」として活用する、そのことを『肯定的意図』と呼びます。
例えば、
「子どもが毎朝学校に行くときになると、体調悪いと訴えてくる」
これも学校に行きたくないから、気持ちが重くなるという「肯定的意図」が働いている可能性が高いです。
前の晩より、具合悪くなるとわかっておきながら、ふとんをかけずに寝てみたり、わざと薄着になってみたりして、翌朝体調不良で苦しむ自分になることを望んでいた。
ここに、「体調不良で発熱などをすることで学校に行かなくてもよくなる」という本人にとってはポジティブな目的が存在しているのです。
親の立場としては、
- 授業についていけてないのか?
- 友人関係でうまくいっていないのか?
- いじめにあっていないか?
など、しっかり観察していく必要があります。
累計発行部数100万部を超えた著書『嫌われる勇気』で語られている内容にて、心理学者のアルフレッド・アドラーは以下のように考えています。
何年も自室に引きこもっているあなたのご友人は「不安だから、外に出られないのではない」のではありません。順番は逆で「外に出たくないから、不安という感情をつくり出している」と考えるのです。
つまり、ご友人には「外に出ない」という目的が先にあって、その目的を達成する手段として、不安や恐怖といった感情をこしらえているのです。
これも「安心」「安全」を得るために、不安や恐怖を自室から出なくていい「道具」として利用していると言えます。
その他の例をあげますと、
「禁煙をしなきゃいけないと思っていても、中々やめられない」
⇒喫煙することでリフレッシュできる体験をしているから、我慢する行為が自分にとっての「安全」「安心」ではない。
「健康のために運動すべきだとは思っているけど、ヤル気が起こらない」
⇒エアコンのきいた部屋でソファでのんびり過ごしているほうが楽だから、運動していなくても健康な人をみつけて「安全」「安心」を得ているから。
と、このようにポジティブな目的を無意識に探しているのです。
改善策は?
とはいえ、こういった悪習慣を変えていきたいと思っていますよね?
そのためには「根底」となる部分を把握し、依存先を変えてしまうのです。
例えば、
「ダイエットしたいのに、食べすぎてしまう」
これは食べることで満足感が得られることが根底にあると捉えます。
それならば、
「お水でお腹いっぱいにしてしまう」
どうしても食べたければ、
「醤油をかけない豆腐など、とにかく低カロリーのものでお腹を満たす」
など、太りにくい要素で代替えしてしまうのです。
「禁煙したいけど、我慢できない」
これは上記でも伝えましたが、一息感・リフレッシュ感を味わえることが根底にあると思います。
それなら、
「自分が一息したいタイミングでガムを噛む習慣をつくる」
など、代替えとなるものを利用するのです。
まとめ
もし、あなたが「何かをやめたいのにやめられない」ことで悩んでいるのなら、
- なぜその行為をしてしまうのか?
- その行為をすることで何が得られるのか?
- どういったことなら代替えできそうか?
を、考えてみてください。
注意しておきたいのが、いきなりすべてを断つ行為はしないことです。
得ていたものが突然「ゼロ」になるとストレスもたまりますし、まず続きません。
一つずつ、肯定的意図をみつけて、代替え案を探してみてください。